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生産管理の最適化、IE技法の活用①
IEとは、
Industrial Engineeringの略、日本語訳:生産工学など
アメリカのIE協会では、「人・モノ・設備の 総合されたシステムの設計・改善・確立 に関するもので、そのシステムから得られる結果を明確にし、予測し、かつ評価 するために、工学的な解析・設計の原理 や方法とともに、数学・物理学・社会科学 の専門知識と技術とを利用する」としている。
工程や作業内容を科学的に分析して、生産管理を最適化することである。
生産管理におけるムダな作業やムダな工程をなくすのを目的としている。
1900年初めに、アメリカの技術者兼経営学者フレデリック・テーラーによって提唱された概念である。
最近では日本の大手企業でも、IEの活用が一般化している。
※トヨタ自動車など、大多数の製造業。
左の図:IEの体系図
生産工程等を効率化を検討する上で、図のような分析はある。
IEの技法では、製造現場の状況を数値や記号で表すので、例えば改善前↔改善後などの効果が見えやすくなる。
一般的な製造業では、コストや時間などは表しやすいが、どれがどのように改善されたかなど、経営陣に対して説明しにくいこともある。
もし、より具体的な数値や記号により、表すことで、誰にでも改善効果が理解できるなど、そして何をどのようにしたかも、説明し理解がしやすくなるなど可視化が実現する。
IE活動による業務改善
IE活動とは、
IEを利用して業務を改善方向に導くことである。
特定の工程や作業内容だけでなく、組織のルールや資産管理の仕組みなど、経営に関するやり方全般を最適化する。
一切の無駄を排除した最高の状態を目指すのが目的なため、日々分析と改善を繰り返さなくてはならない。
例えば、低コストかつ生産性を向上させるには、作業内容・工程・設備投資・人員の配分・仕入れ先など事業活動全体の見直しが必要。
IE活動は、社員の協力が不可欠である。
社員の気持ちを考えずにトップダウン的な手法ばかりとると、現場からの不満が増え、必ず限界がくる。
工程分析の概要
工程分析とは、材料が製品になるまで の工程を分析することである。
①工程分析の目的
製品の流れを明確にすることにより、 改善点を発見することである。
②工程分析の手法
一般的に、工程図記号を使って図表化 し、各工程の作業内容、使用機械、治工 具、所要時間、運搬距離などを調査、記録する。
③工程図記号
工程図記号はJIS Z8206に規定されている。
基本的には工程を次 の4つに分類し、フロー図を作成する。
記号名称
1,加工
原料、材料、部品または、製品の形状、 性質に変化を与える過程
2,運搬
原料、材料、部品または、製品の位置 に変化を与える過程
3,検査
原料、材料、部品または、製品の量や品質を検査し、ロットの合格、不合格、
または、個品の良・不良を判定する過程
4,停滞
原料、材料、部品または、製品が、計 画に反して滞っている、
または、計画 により蓄えられている状態
上記4工程のうち、付加価値を生み出し ているのは「加工」工程のみである。
工程分析の方法(概要)
左図から改善ポイントの発掘
付加価値を生み出しているのは、
左図では、「加工設備まで運搬」に続く「加工」工程であるので、それ以外の工程の割合をいかに減らすかが改善のポイントとなる。
IEのさまざまな分析方法
数値と記号で表すことにより明確に伝わるIEの活用
従来のQCDを更に科学的に進めことが出来き、新しいタイプのQCDとして生かすべく、大手製造業の多くが何らかのIEによる分析活動を採用している。
人の管理、品質管理、工程管理、投資などさまざまなシーンでIE技法の活用が出来る。
また経営報告などに活用され、設備変更や増強、工場新設・移転などの投資計画策定にも活用できる。
数多くの応用事例があるが、その一部を次回以降で簡単に紹介する。